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手乗りツバメのお友達

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ツバメが飛来し、楽しそうに飛び回っている様子を見惚れてしまう。
月日が流れても、夏を迎えると昨日のように思い出す。

その日はうすい雲が広がった曇り空で今にも泣き出しそうなそんな天気だった
近くに住む顔見知りの主婦の方が事務所の戸を勢いよく開けられ飛び込んで来られた。
見ると、顔には少しばかりの汗が光り、両手は合わせるように優しく包まれて笑顔で挨拶された。
「お願いがあるんです」
「巣立ちに失敗したツバメがいて、飛ぶ事が出来ないんです」
「生き物が好きだとお聞きして来たので持って来たんです。」
「助けて欲しいんです」と、大事そうに両手を開かれた
生き物が好きだと・・・そんな噂が飛び交っているなんて露知らず笑いこけてしまった。
小さな生き物はいつも駆け込み寺のように思われているが持って来られたら仕方がありません。
ツバメは目を閉じてワナワナ震えています。
すぐにコップに水を張り、くちばしを浸けようとするがくちばしを左右に振り拒否している。次は綿棒を濡らして口に持っていくが頑として口を開かない。

無理してでも開けようとすると指を突っついて来た。
このままだと衰弱するだけです。
テーブルの上で飛ばしてみると、羽根を動かすことなく落下してしまう。
小さな丸い棒を用意して足に触ると棒の隅の方にかろうじて掴んでいる。

さてと・・・どうしましょうか

Tubame

すぐに友人で犬猫病院のT氏に電話を入れた。
「ツバメを診察した事ある?」
「インコとか鳩はあるけど、ツバメはないな!どうしたの」
「飛べないツバメを持って来られて、このままでは衰弱で死にそうだよ」
「今から行くから何とかしてくれる?」

病院のスタッフも犬猫を連れたお客さんも(⌒▽⌒;) オッドロキーです
今にも死にそうな「飛べないツバメ」
T氏「何しろツバメは初めてだな・・・」
「ビタミン注射を打ってみようか」
左手にツバメを持って、お腹の辺りに注射をブスリと刺した
何とこれが、功を奏して元気が出たんです 
この飛べないツバメは真ん丸い目を開けてキョロキョロし始めたんです。

先ずは巣作りをしなくてはと、近くのホームセンターから十姉妹の巣を購入。
藁で出来ているから良いかも知れないと安易な発想だった。
次は事務所の中に電線コードを端から端まで張った。糞が電線コードに沿って直線に引かれ新聞紙が大活躍です。
それに大事な食事となると、T氏から生きた餌でないとダメだと云われて、
魚の釣り餌「ミルワーム」を用意した。これは大好物になりました。時間のチャンネルが蘇ってきたのでしょうか
夕暮れになると巣の中に入り瞼を閉じて寝てしまいます
瞼は下から上に瞼があがります。なんと白い瞼です。
それに、何と云っても特徴ある黄色い口紅。これはとても可愛い口です。

事務所の中で飛ばしてみるのですが、飛ぶ事は出来ません。
目の前に指を差し出すとピョコンと飛び乗るのです。
手乗りツバメの完成です。
外に出てもいつものように指に乗せて歩くんです
行き交う周りの人が、目を白黒させてチョウ(⌒▽⌒;) オッドロキーの顔です

それでも、ツバメは保護鳥で渡り鳥ですから勝手に飼う訳には行かないようです。
茶臼山にある動物園に行きました。
もちろん助手席にはツバメを同伴してです。
手の指に止まったツバメを見て、動物園の方もワイワイガヤガヤと集まって来ました。
手乗りツバメの鑑賞会です。
お墨付きで飼育の許可を戴きました。

毎日、通りに面したガラス窓に吊るしたハンガーに乗せていると幼稚園の園児たちが集まって来ます。事務所に入りに入って、一人ひとりの指に乗せてあげるとキャアキャア云って大喜びです。
ツバメも喜んでいるようにも思えます。

連れて来られて4ヶ月が過ぎようとしています。
その間には、飛べない辛さを共に感じて、河川敷の広いグラウンドに行き、飛ぶ練習もしました。3メートルほど上がって小さく旋回出来るようになりましたが、力尽きて落ちてきます。それでも、逃げようとはせずに指を差し出すとピョコンと飛び乗ります。
家族同様の一緒の生活が続きました。
凍てつく冬を越す事が出来るのか、それが一番心配でした。

我が家には猫がいるので家では押入れに用意した十姉妹の巣に入って寝ています。
餌を畳の上に敷いた新聞紙にミルワームをバラバラに置いておくと、飛んできて食べます。食べ終わると巣までは飛べるようになりましたが、飛ぶのはそこまでで、自由に飛ぶのは限界のようです。

天気予報で冷え込みが厳しい日が続くとありました。
とても心配で周りを毛布で囲み厳寒対策を施しましたが、寒さには勝てないようです
11月の寒い日に故郷に帰ることも叶わず十姉妹の巣の中で死んでいました。
今年もツバメは誇らしげに飛行して、赤ちゃんツバメに餌を運んでいます。
こんな光景を眺めると楽しい日々を懐かしく思い出されます。

合掌。

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