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ある短編小説・・・

志賀直哉『城の崎にて』を青空文庫で読んだ。
城崎温泉の風情が伝わってきて温泉に行きたいなと思った・・・でも、城崎温泉に行く事はないかも知れない。

志賀直哉と云えば、小説の神様・・・その小説の神様に喧嘩を売った太宰治の「如是我聞」は面白かったですね。
横綱と前頭の喧嘩で眉間にしわを寄せて怒っている太宰治は可愛かった。
しかし、
学校で暗記させられた「走れメロス」。約束と友情が散りばめられた感動的な話でしたが好きになれなかった。無二の親友だったら、どんな情況でも受け入れてくれるのか
甚だ疑問を感じながら読んだような・・・当時は感動して読んだのかも知れません。
天邪鬼が住み着いている私です。

15歳で放逐させられた私は愛情の灯った家庭で談笑することもなく、異国の地で、
すきま風の入る薄暗い部屋でジュニア小説を読み耽っていました。
戦争を知らない世代ではあるが、まさしく軍隊的な呼吸を要求される団体生活です。
いつしか篭の鳥となり、孤独を味わっていた。
その反動として青春恋愛小説に嵌ってしまったようです。
貸本屋のジュニア小説は完全制覇していた。
しかし、嵌りにはまったジュニア小説も内容が似たり寄ったりで、マンネリ化し,だんだんと離れてしまった。
そんな時に寺子屋の図書館で読んだ本に・・・
志賀直哉「剃刀」がありました。
いま思うと、以下のような感想を抱いたのではないかと思いました。

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読み終わっても、最初は何が何だか良く分からない 何が起きたのか分からなかったし、作者は何が云いたかったのか理解できなかった。・・・時間が経つにつれ、ひとつひとつの言葉が浮かんで来て怖くなった。
閉じてしまい。
その後、読む機会もなく忘れてしまった。寺子屋17歳の時です。

ある文芸書評に、志賀直哉にみる究極の短編小説「剃刀」の事が書かれていて過去の記憶が彷彿してきて目に焼きついてしまった。
また、読む機会が生まれて来ました。
もう、内容すら覚えていない作品です。
お友達の日記にある城崎温泉についての記述がなければ、「剃刀」の表題を見ても何も感じる事はなかったでしょう。

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新潮文庫『清兵衛と瓢箪・網走まで』460円。
珠玉の短編集18作品が集められています。

先ずは気を落ち着かせる為に「網走まで」を読みました。
網走まで・・・と表題にも関わらず宇都宮の友人に会いに行く話。
車中で出会う母子の観察はまことに絶妙です。
子供がトイレを我慢する場面・次の駅でモタモタしている子供に叱咤する母親。ほらほら 早くトイレに行かないと、汽車は出てしまうよ、ちびってしまうよ、等と罠に嵌ってしまい、出会いと別れが淋しくもありました。
葉書の投函を依頼する場面はほのかな愛情をも感じてしまった。
その後の母子はどうなったのかと気になる結末でもあります。

他の短編をひと通り目を通して「剃刀」のページです。

冒頭・・・
麻布六本木の辰床の芳三郎は風邪のため珍しく床へ就いた。それが丁度秋季皇霊祭の前にかかっていたから兵隊の仕事は忙しい盛りだった。彼は寝ながら一ト月前に追い出した源公と治太公が居たらと考えた。

腕が良いと評判の床屋の主人芳三郎が風邪で唸っている、ところから始まった。
稼いれ時に主の芳三郎が風邪で寝込んでいたところ、剃刀を研いでくれとの依頼が来る。
急な依頼ではあるがお得意さんである。どうしても必要なので主に研いで欲しい
風邪を引き、頭が朦朧としている中で急いで研いで渡すが、切れ味が悪いと云って研ぎ直しで戻ってくる。
無理をして研ぎにかかるが、どうしても上手く行かず、店まで出てきて作業をしていると、客がやって来て、髭を剃ってほしいと云われる。
頭の中は夢虚ろで疲れ切っている。それでも剃り続けていると・・・。
顔を傷つけてしまう。腕の良い職人気質の芳三郎は傷つけたことで気が動転してしまう。
どうしようもない程に心と体が磨り減ってしまうが、何とかしなければ行けない気持ちが昇華され、一閃が走る。
こんな風に追いつめられてしまう事を考えると、恐ろしく想像されます。

ドキドキしながら読んでしまった。
読後感では、より一層のドキドキが走ってしまった。
これが、志賀直哉の得意とする深層心理を突いた試みだったのでしょうか。
作家を目指す方への登竜門小説なのでしょうか・・・・
巧みな心理描写は巧妙すぎます。

末尾・・・
総ての運動は停止した。総ての物は深い眠りに陥った。
只独り鏡だけが三方から冷ややかにこの光景を眺めて居た。

私のひとり言
末尾の文章は凄いな・・・すべてを物語っている。感嘆してしまった。
人間社会において不合理さを説いたのかな・・・
分かりませんが、17歳の頃よりは少し理解したような気がしました。

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