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無我夢中を考える・・・。

梅雨の合間にはうだるような真夏日が襲ってくる。体中から滲み出る汗がことのほか気持が悪いので日陰を求めてプラットホームに立つ。
冷房車両が滑り込んできた。
いまは、どの車両も冷房車両のような気がするが、ひと昔前の山手線車両は冷房車両が少なく、冷房車両が来るとわれ先にと、乗るために押し合いへし合いの手練を駆使していた。

20400061

新幹線を上野で降りて、山手線に飛び乗った。
上野駅では大量の客の入れ替えが行われ座れた。
微弱の冷房が効いた車内は居眠りがしたくなるほどの心地良さがある。

中央にある席の端に陣取ったのは、長年の閉塞した心によるためで、事が起きたときの咄嗟の行動、脱兎の逃げ足これに限る。小心者の哀れな心理の表れである。

座るや否や前の席に座っている人が目に入り気になった。
年のころなら32~3歳。いま流行の中途半端に伸びきった口ひげとあごひげを蓄えている。
顔の割には唇が薄くて小さいのが気になった。吝嗇で気が弱いが見栄を張りたがる人なのであろうかと、勝手に観相学を始めてしまった。
膝にはメタリックボディで12.1インチのpanasonic let's noteは開かれていて、PCIスロットにはウイルコムの通信カードが差し込まれ接続を示す緑色が点灯している。

何を眺めているのであろうか、半開きになった眼は虚ろに現実を逃避しているようにも見える。目が宙を泳ぎだし顔が揺れ始めた。半開きになった眼もいつのまにか閉じられ、持ち前の探究心であろうか、誰も入り込めない夢の中に探検に出かけられたようだ、顔が傾いたまま止まってしまった。開いたlet's noteの中では動画が勝手に動いているのかも知れない。動画を見ている最中であったなら、肝心のところを見逃しているに違いない。
そのうちに、膝に乗せたlet's noteが膝から落ちるのではないかと心配になってきた。
電車の振動で少しずつlet's noteが動いているようにも見える。
次の動作に備えて、抱きかかえていた無印で買ったトートバッグをそっと足元に置いた。let's noteが落ちてくるのシュミレーションしている私がいる。

周りを見渡すと、中央の席に座っている6人の方はlet's noteを開いて居眠りされている方を除く5人の方はめいめいの携帯を取り出して夢中になっている。誰も入り込めない世界を作っているそんな感じ。

let's noteの隣に座るアキバ系ファッションに身を包んだ女性がいる。脇目もふれずに右手に持った携帯を器用に親指がせわしなく動いている。もしかしたらアキバ系ファッションは隠れ蓑で山手線車両を書斎代わりにしている凄腕のライターではないのか。
いや、もしかしていま流行の携帯小説を書く小説家なのかも知れない。あの著名な「きっこの日記」のきっこ本人の線も考えられるが、ほんとうにそうだと面白い。

その右となりに座っている30代のサラリーマン諸氏も携帯を眺めている。
携帯を持つ指先が動くことはないが、携帯画面を凝視している。もしかして出会い系のメーリングを読んでいるのかも知れない。

メーリングリストがインターネットの主流であった時期があった。niftyのパソコン通信がフォーラムと名称を変えて広く浸透していた。この時のフォーラムはオフ会が盛んでどこを覘いてもオフ会で盛り上がっていた。
いまはオフ会なんて死語なのであろうか。

出会い系を覘いている彼の右となりには赤い紅をした40歳台の主婦のように見受けられる。この女性は買い物帰りなのであろうか松坂屋の紙袋を提げている。紙袋を器用に懐に抱えながら携帯画面を覘いている。
日々の生活が思いもよらぬ重圧から来るストレスを抱えてバイト先の若い男とねんごろになった事が考えられる。
彼からの長い長いエロいメールを読んでいるのであろうか。携帯から目が逸れることはなかった。

ひとつ席を置いた右隣には、ヨレヨレのスーツを着込んだ50歳台の夕暮れ時が似合う男性が座っている。会社の重要な書類が入ったバッグは荷物棚に放り込み、両手で持った携帯に必死にしがみ付いている。百歩を譲っても、この男性にloveメールが来るとは信じ難い。この方が似合うのはアダルトサイトの投稿画像に添えられているお誘い文章を読んでいるように思える。
年恰好で、その方の人生を否定してはいけないが、アダルト以外になにがあるのであろうか・・・私も携帯を眺めていたら100%の確率で、同じことを思われるのでしょう。否定出来ない私がいます。

右端には20歳代と思しきサラリーマンがお二人。
このお二人も携帯から目が動かない。何をみているのか不思議でならない。
着こなしを見るほどに
先入観であろうが、このようなサラリーマン諸氏を見ると、高額収入を謳い文句で集めたノルマの厳しい先物取引の社員ではなかろうかと思ってしまう。
サルバドール・ダリの作品のように、また魔女が履いてそうな先が尖るだけ尖った靴を履いているのを見ると、まともな営業中とは思えない。
先入観ではあるが・・・。

let's noteを抱えた彼は大塚で目を覚まされた。
そして周りをキョロキョロしながらlet's noteを閉じられた。d(゜-^*) ナイス♪キャッチを目論んでいた私はファインプレイの機会を逃してしまった。

文庫本を取り出して読み始める人がいなくなった。
これも世の流れなのでしょうね。携帯の小説は読めるが、本の小説は読めない
なにかが狂っているのかも。

画像は鉄道マニアのページから拾ってきました。

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コメント

連日、東京の話題で楽しいです。

東京では電車の移動が当たり前で、私もウォークマンで音楽を聴きながら本を読んでいました。その時間でどれだけのがを読めたことか。

上越に来て困ったのは、移動が車メイン。東京では必要なかった免許の取得から始まりました。自分が運転するとなると当然本が読めません。この不自由さは今でも感じています。あんまり運転が好きじゃないみたいです。

たまに羨ましく思うのが、東京の電波事情。どこでもインターネットが繋がり、ネットブック一つあれば楽しいだろうな~。

投稿: ダックス | 2009年7月11日 (土) 06時51分

cancer
ダックスさん こんにちは(o・ω・)ノ))

> その時間でどれだけのがを読めたことか。
電車の中は騒音がするが、耳を塞げば図書館のような
以前は、それこそ新聞・雑誌・文庫を手にしている方が多かったが
これも、時代の流れですね。

faxが現れた時の衝撃的な感覚からPCから携帯へと
未来像はどうなっていくのか・・・。

都会を離れると、まさに免許は必需品で車の中での
生活がゆとりある空間で、土足厳禁を実行する方が多いですね。

> どこでもインターネットが繋がり、ネットブック・・・
ポケベル・携帯・モバイルと推移して、なかなか孤独にはなれないようですね
誰かに探してもらいたい願望があるのでしょうかね

投稿: 月の砂漠 | 2009年7月11日 (土) 15時10分

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