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そういうものなのです。

Hitozuma

嵐山光三郎著「人妻魂」の中に相馬黒光の話が載っている。

相馬黒光と云えば、新宿中村屋を開業する苦労話が「パンとあこがれ」の主人公としてTBSのドラマになりました。この番組は良く観ていた様な気がします。
会社に行く前の、ほんのチョットの時間だったでしょうか。
筋書きは殆ど忘れてしまっているが、日本で最初にアンパンを作る話は興味深く思い出します。
それに、この番組の挿入歌だけは、今でも口ずさむことが出来ます。
不思議な感覚です。

仙台の士族出身で気位は高いが生活が厳しいと云った環境で育っています。
十六歳で上京して明治女学校に入ります。明治女学校の創設者である巖本善治と島崎藤村に可愛がられます。
名前が黒光(こっこう)とは珍しい名前ですね。これは、眩しくて余りにも美しいので黒い光で包むと云う護符にも似た意味合いがあるとして巖本善治が付けたそうです。
それは、「夜明け前」で有名な島崎藤村が色情教師として、可愛い娘をみるとすぐに手をつけてしまう悪癖があり、藤村の色情から守る為とも云われていますが。

黒光は秘かに心寄せていた画家の布施淡が別な女性と結婚したことがショックで信州穂高出身の相馬愛蔵と結婚して信州に移り住みます。
信州穂高地方は、今でも芸術家が多く住み美術館も数多くあります。
いつの間にか相馬家には芸術家が集まってくるようになります。
その中に、彫刻家で有名な荻原碌山がいます。

新宿に新時代を思わせるパンを引っさげて中村屋を開業します。
パンを求めて押すな押すなの大行列が毎日続き、大繁盛となり益々忙しくなるのです
穂高からの繋がりで中村屋サロンを開設して芸術家を応援していくのもこの頃ですね

中村屋が繁盛すると苦労を重ねて来た反動か、愛蔵は他に女性を作り遊び呆けます。
忙しい稼業に夫はいない、男手がいる時に・・・そんな時に碌山が加勢するのです。
親しくならないわけはないですね。

本にはこんな件があります。

碌山は、夫のご乱行に悩む黒光の相談相手でした。だいたい不倫というのは、こういうところからはじまります。悩んでいる人妻の相談にのっているうちに、つい不倫の仲になってしまう。いや、男は人妻との不倫を期待して人生相談に応じるわけですから、どっちもどっちです。
黒光が図太いのは、碌山に人生相談している最中に夫と性交して妊娠して、お腹が大きくなるところです。碌山は「冗談じゃねぇや」と怒り心頭に発し、死んでしまった。
これは碌山の考えが甘いわけで、人妻とはそういうものなのです。

碌山は中村屋のお店にある奥の部屋で喀血し、障子や畳を真っ赤に染めて30年の生涯を終えた。世間は自殺と騒いだ。失恋の末の儚い命だったのか
黒光は、碌山の棺を掴み、人目も憚らずに泣き崩れたと云う。

Rokuzan

信州安曇野にある「碌山美術館」には、最高傑作としての評価を受けている作品がある。
ひざまずき両手を後ろに回している裸像は黒光がモデルだと。

千の風 
『碌山』・・・プロローグ。それは碌山が黒光に出会ったときめきが

それは明治30年
安曇野の春のはじめ
彼は畦道に腰をおろし
常念岳をスケッチしていた

「こんにちわ」という声に振り向けば
徹笑みかける美しい人
彼は思わず頬をそめた
胸の高鳴り押さえがたく

碌山美術館には一度だけ行った。
良く覚えていない。
色づく秋のころに行ってみようかな・・・。

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コメント

>碌山美術館には一度だけ行った。 良く覚えていない。

そうだったのかァ~~~・・・といろいろな記憶がシナプスのように遥か昔の脳内記憶を結び付けてくれました。

私も 一度だけ行った事があります。白馬の辺りのペンション村が文化の発信地だった頃です。^^
<女>の像には何も感じませんでしたが、<デスペア>の慟哭のような深い嘆きに しばらくその場を離れる事が出来なかった覚えがあります。

失恋はあってもかすり傷で済んでいたあの頃、ここまでの嘆きがそら恐ろしい気がしたものです。

投稿: ネフェルタリ | 2009年8月22日 (土) 20時38分

cancer
ネフェルタリさん こんばんは(=゚ω゚)ノ o(_ _)oペコッ

行く先々に美術館があると、取り合えず寄りますね
安直な考えではありますが・・・

> <デスペア>の慟哭のような深い嘆きに
魂を削り、形を創りだす精神力は到底凡人には計り知れない
深い想いがあるのでしょうね
絶望の淵に立つ苦悩を感じると、わが心と重なるのでしょうか
動けなくなることがありますね

裸像は、いっぱい見てきたので、どの裸像が評価されているのか(*^m^)
多分に見当違いだとは思うのですが・・・

投稿: 月の砂漠 | 2009年8月22日 (土) 21時50分

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