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五木寛之「親鸞」下巻

002

親鸞は岐路に立ち、新しい道へと歩みはじめる節目節目に名前を変えます。
「忠範・タダノリ」「範宴・ハンエン」「綽空・シャッククウ」「善信・ゼンシン」と変え、念仏停止のお触れを破った首謀者として流刑が決まると「親鸞」と名前を変えて越後へ旅立ちます。
」『文中は親鸞と表示。』

親鸞は聖徳太子縁の六角堂で百日参篭を行い、精神的・肉体的に朦朧とした九十五日目の明け方に経文を聞く、まさしく聖徳太子の具現を受けたと云って良いでしょう。時に親鸞二十九歳。

見えない力が親鸞の運命を変えようとしている。

比叡山を降りる決心して野に下り、都を浮浪する乞食坊主になり、親鸞は鴨川の橋の下がねぐらとなり、河原の石を枕にして寝る。河原には、骨が散らばり、亡くなったばかりの死骸が運ばれてくる。肉が腐り、蛆虫がわき、やがてきれいな白骨となる様子をじっと観察できた。
衣はボロボロになり、汗と垢でまみれて体から異臭を放っていた。

それでも、毎日、雨の日も、風の日も、ひたすら吉水の草庵に通い、晴れて百日目にして、はじめて法然に向かい合う。

はじめて会う親鸞に法然は「しばらくぶりじゃのう 達者であったか」と。
法然は10年前に親鸞が慈円阿闍梨の命を受けて、法然の法話を三度ほど聞きに来たことを覚えている。それに、今日で百日目になるかのう、よう通った。親鸞はビックリします。私を覚えてくださっていると。

弟子入りを許された親鸞は
六角堂で力を与えてくれた紫野(後の恵信)に再会します。
離れ離れの中でも、お互いが1日として忘れたことがないことを語り合うのです。妻にすることを決心する。

妻帯に対して法然は、こんなことを云っています。
わたしは、決して女性を蔑視しているわけではない。女性に指一本触れずに今日まで来たが、私だって男である。女性を抱き寄せたくなるし、夜な夜な女性を犯す夢を見ることもある。と。

法然は、秘中の秘と云われる選択本願念仏集を書き上げます。
信頼する2~3の弟子以外は触ったこともない法然の本音が書かれています。門外不出の選択本願念仏集。
親鸞は、法然から選択本願念仏集を預かり書写が許されます。
先輩の怒りを買うことになるのですが・・・。

法然は親鸞に語りかける。

「誰が何と云おうと、そなたを信じる。もし、噂通りにそなたが比叡山の目付け役であったとしても、わたしは後悔などしない。かって百日間、一日も休まずに私の話を聞きに来た、そなたの目の色をわたしはしっかりと覚えているんだよ 私の話は、たくさんの方が聞きに来ていても、そなた一人に向けて話をしているような気持ちだった。」

選択本願念仏集を託された親鸞に先輩の横槍がはいり身辺が忙しくなります
。都で一番の高い八角九重搭が焼き討ちにあい炎上します。
事件の首謀者である先輩僧の遵西(じゅんさい)が親鸞に聞く場面があります。

遵西が「そなたは、念仏すれば浄土に往生できると本当に思うておるのか」
親鸞は
「わたしは、浄土に行ったことがありません。ですから、師の言葉を信じるしかないでしょう。信じると云うのは、はっきりした証拠を見せられて納得することではない。信じるのは物事ではなく、人です。その人を信じるがゆえに、その言葉を信じるのです。わたしは法然上人をひたすら信じている。ですから、その方の教えられるとおりに念仏して、浄土に迎えられると信じているんです。」

念仏は後鳥羽上皇の寵愛する女官が念仏に夢中になり、上皇の怒りを買う。
他方のお寺からの圧力もあり、専修念仏を禁止する念仏停止の札が辻に立てられ取締りが始まった。」
法然のいる吉水草庵は解散となり、法然上人は四国に流刑となる。親鸞は首謀者との噂が広がったが、死罪を覚悟した親鸞を慕う人々の力強い援護で越 後へ流刑と決まった。

Take

五智国分寺にある 竹之内草庵

Jyokoji

重要文化財 浄興寺

流刑になった越後と云えば、妻の恵信尼のふるさとです。恵信尼は上越市板倉の出身。
船で越後・居多が浜に上陸して、五智国府に竹之内草庵を作ります。
越後の人びとは、暖かく親鸞聖人を迎えたと云います。
親鸞聖人が法話を行った浄興寺は国の重要文化財に指定されている。

なによりも、親鸞聖人は法然上人に終生変わらぬ愛情を注ぎ、浄土の道を説き、浄土宗を支えた。親鸞聖人を慕う弟子たちが、浄土宗を離れて、新たな宗派を作ろうとしても、決して許さなかった。法然上人の浄土宗の繁栄に力を入れた。
門徒と呼ばれる日本屈指の宗教団体である浄土真宗は、親鸞聖人が亡くなったあとに親鸞聖人の教えを理念として出来た宗教。その歩みには蓮如なる中興の祖が生まれる。これも親鸞聖人の導きなのであろうか。

「信じるのは物事ではなく、人です。その人を信じるがゆえに、その言葉を信じるのです」
こんな純粋な心を持ちたい・・・と、思います。

 

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