« 大きな衣替えが進んでいる | トップページ | 堀部安兵衛の切腹 »

いつもの彼

Lego

いつもの場所に車を止めてドアを開けると、彼は、スルスルと寄ってきて、車の前後を確認して指を突き出している。戸締り!OK!なのであろうか

その日も、彼はいつもの場所にポツンと腰掛け遠くを見ていた。
彼の手には、お馴染みの赤と黄と青で組み合わされたレゴを大事そうに抱えている。
レゴをグルグルと回したり、ひとつひとつを取り外し並べたりもしていた。

時おり、彼はレゴを振り回し、女の先生に向かって何か抵抗している時もある。
その時の彼は、感情が高ぶり、レゴをひとつひとつを取り外し、遠くに投げていた。
女の先生は、怒ることもなく、投げられたレゴをひとつずつ拾って、手で泥を払いながら、彼に渡していた。

彼は、駄々を捏ねているのを見たことがある。
近くでバドミントンをやっている人をジッとみていた彼は、女の先生を連れてきてバドミントンの羽根が欲しいとねだっていた。女の先生が使われていないバドミントンの羽根を持ってきて、彼に渡すと彼は羽根を手のひらで包み確かめていた。
彼は、バドミントンの羽根を握ると、やおら立ち上がり、屋根に向かってバドミントンの羽根を投げた。
羽根は、勢いよく宙を舞い屋根に吸い付いた。
女の先生は、両手を腰に当てて、何か云っている。

たぶん・・・屋根に投げてはダメでしょう と。云ったのかな

怒られた彼であったが、表情を変えることなく、女の先生を見つめながら、お気に入りのレゴで遊んでいたが女の先生に云われるのに興味がないのか、それとも聞き飽きたのか・・・地べたに体を横たえてレゴを弄っていた。

はじめて彼に会った時に、彼は額から血を流していた。

「額から血が・・・」ビックリしてバッグに中に入れてあるティッシュを探していると、彼は、持っているレゴで何回も何回も、額を殴っていた。
「早く止めなくちゃ・・・」と、思っていると、女の先生が走ってきて彼の額を拭いていた。

行く度に彼に会う。
彼は、いつもの場所に座って、澄み切った眼で静かに私を見つめている。

|

« 大きな衣替えが進んでいる | トップページ | 堀部安兵衛の切腹 »

人間ウォッチング」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 大きな衣替えが進んでいる | トップページ | 堀部安兵衛の切腹 »