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森沢明夫「虹の岬の喫茶店」 ★なし

Misaki

書評を読む前に帯の紹介文に惹かれた。
≪この店に通いたい。僕はどうやら物語の魔法を掛けられたらしい≫

森沢明夫「虹の岬の喫茶店」

愛する人が最後に描いた壮大な虹の絵。
雨上がりの虹を求めて岬の突端に開いた、ちっちゃな喫茶店・岬カフェの主人悦子さんがこの本の主人公。

場所は・・・富士山が見える太平洋沿岸となる。
喧騒がこだまするトンネルを抜けると明るく視界が広がる。
トンネルを抜けて50メートルも走ると、岬に出る唯一の道路は視界から消える。
「おいしいコーヒーと音楽♪ 岬カフェ ここを左折」の小さな看板は見過ごされ、岬カフェは今日も静かな時間が広がる。


四季をテーマに第6章からなる。
人それぞれの思いが岬カフェで交錯する

初老の悦子さんは大のコーヒー通。とびきり美味しいコーヒーをお客さんの人生に重ねあわせて音楽を選らび、時には寄り添いながら人生を振り返り希望を与える。
そんな悦子さんは、右の前脚を失った犬のコウタロウと共に日々を暮らしている。

書評にはこんな文章が書かれていた。

トンネルを抜けたら、ガードレールの切れ目をすぐ左折。雑草の生える荒地を進むと、小さな岬の先端に、ふいに喫茶店が現れる。そこには、とびきりおいしいコーヒーとお客さんの人生にそっと寄り添うような音楽を選曲してくれるおばあさんがいた。彼女は一人で喫茶店を切り盛りしながら、ときおり窓から海を眺め、何かを待ち続けていた。その喫茶店に引き寄せられるように集まる人々―妻をなくしたばかりの夫と幼い娘、卒業後の進路に悩む男子大学生、やむにやまれぬ事情で喫茶店へ盗みに入った泥棒など―心に傷を抱えた彼らの人生は、その喫茶店とおばあさんとの出逢いで、変化し始める。心がやわらかさを取り戻す、感涙の長編小説。

とある。
・・・が、読み進めているうちにうんざりしてくる。

意味を理解するには難解な漢字がいたるところに出てくる。その一部を紹介すると
春宵(しゅんしょう)
寂寞(せきばく)
胸裡(きょうり)
悪罵(あくば)
憂苦(ゆうく)
静謐(せいひつ)
大多数の読者の方は理解されているとは思いますが浅学なる私は、読めないし意味も分からない。純文学を唱える小説であれば納得もするが、内容的には、とても軽い小説であります。

章立てとして唐突なプロローグではじまるが、中身が薄くエピローグのないままフェードアウトしてしまう。

章立てごとに悦子さんに絡む人々のその後はどうなっていったの?
売れない陶芸家が焼いたマグカップ 強盗に入った研ぎ職人が置いて行った包丁
就職できずにフリーライターになった情けない男 甥の浩司がバンドするために手作りしたライブハウスのその後は? 
いつの間にか、長い中略があって、いつの間にか、結婚して小学生の子どもがでてくる。
何が・・・どうしたの・・・喧嘩別れした仲間との再会は、あったの?

音楽のセンスも良いとは云えない
スピッツ「春の歌」
ケルティック・ウーマン「アメイジング・グレイス」
ビーチボーイズ「サーフィン・サファリ」「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」
ゴスペル「ザ・プレーヤー」

など。

こんな文章がある。

着替えを済ませ、洟をかませ、「痛い、痛い」と文句を言われながら・・・

「洟」 は読めなかった。

章立てごとに、数ヶ月やら数年経過しているような章立てになっているが
悦子さんの美味しいコーヒーを飲んだ人たちのその後は、どうなったのかな
希望を与えたんだから、与えた希望がどうなったのか知りたいよね。
そんなことは、読み手が勝手に想像しろ!と、云ったような小説です。

帯に釣られて読んでは見たが・・・
★を付けることも憚れる小説でした。

大外れ。

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コメント

関西は雨でしたが、東京も雪で、今冬はやはり雪の冬なんでしょうか。

つまらない本を読んだり、映画をみたりするのは寂しいですよね。
しかし、
 春宵(しゅんしょう)
 ・・・
 ・・・
 静謐(せいひつ)
では、「憂苦(ゆうく)」は知らない単語でした。それ以外は、文体と文脈次第では使ってもいいのではないでしょうか?よっぽど唐突だったんでしょうね(笑)

表紙の絵も突っ込みどころ満載で、白い煙をたなびかせている煙突なんて設置して数日もしない間に吹き飛ばされちゃうでしょうね。防風林がないのもおかしいし、絵のように、利尻島でみたような草しか生えないような場所だとしたら、そもそもこんな小屋、激しい風で煙突もろともたちまちにして木っ端みじんでしょうね。

それにこの小じゃれた小屋、日本の田舎の人はこんなの建てないし、こんな色のペンキ塗らないでしょう。でも、こういうのは、明治以前の日本人が描いた支那風の景色でもありますね。

おつかれさまでした。

投稿: とんぼ | 2012年1月21日 (土) 01時36分

cancer
とんぼさま こんばんは。

ほんとにロクでもない本でした。
作者の今後の期待を込めて辛口批判があって良いと思いました。

これで、ほんと笑えるのは児童文学のようにチョット難しい漢字には
ルビが振ってあるんです。
ルビを振るような漢字を使うな!と思ったのが正直の感想です。
美しい日本語を駆使して、ほかに言い回しがあるだろうに・・・

そんなこんなで、感激する読者もいるかと思うと悲しい。

とんぼさんのコメントで笑ったのが・・・支那風の景色。
言い得て妙とはこのことですね
同感です。

投稿: いもがらぼくと | 2012年1月21日 (土) 19時04分

帯を見てひかれる確かに  でももしかしてこの小屋をみて
私はひかれる 干渉されず、自然の中で自然と自分がいったいになって暮らせる気がする
喫茶店はだれもが夢見る世界 ハイジの世界 

小説より、絵の情景が判断を鈍らせたのかも
私もよくある 何もなくて豊かな島 1日3時間しか働かない国って小説は私もかった そそられるけど中身はない

投稿: アンクルジョー スユア | 2012年1月22日 (日) 23時24分

★なしの大外れですか。 笑いました。 本は図書館かブックオフと決めている私と違って ちゃんと本屋で買ってしまったら 悔しさ倍増になりそうです。

タイトルと表紙の絵は好みです。 買うかどうかは別にして 並んでいたら手に取るタイプですね。
以前 ラストリゾートという大人の絵本みたいなのを見ました。
あんな感じです。 

漢字は私は割りと好きなんですよ。
春宵・・・いまひとつ 上手く説明出来ない言葉ですが、ニュアンスが好きです。 そういう意味では興味あるかも。

仁左衛門さんがポイッと捨てたら 拾いに行くのに・・・
すぐ雪の中に埋もれてしまって 後は 静謐・・・?

投稿: ネフェルタリ | 2012年1月24日 (火) 11時14分

cancer
アンクルジョー スユアさん こんばんは。

> ・・・この小屋をみて私はひかれる

若い時の心理テストで、
あなたは森を歩いています。
「どんな森ですか?」
鍵が落ちています
「どんな鍵ですか?」そして「その鍵を拾いますか?」

で、あなたは小屋を見つけました
「どんな小屋ですか?」

そんな心理テストがあった事を思い出しました。
小屋が青色でなく薄いピンクだったら良かったのに・・・

投稿: いもがらぼくと | 2012年1月24日 (火) 19時39分

gemini
ネフェルタリさん こんばんは。

春宵 良い表現ですね。
少し肌寒いが暖かい空気を感じる春の夜でしょうか

なにぶんにも、物語の内容に相応しくない漢字の羅列に
見えました。
世の中が漢字クイズに侵されてしまったかのように
漢字が氾濫しています。
ひらがなの持つ日本語のやさしさを使わないんだろう・・・

コーヒーの嫌いな私は・・・

投稿: いもがらぼくと | 2012年1月24日 (火) 19時49分

紹介にあった 限界集落はなかった。虹の岬のあった
これだとおもってみると、いもからさんのいうとおり
なのかなっておもった、電話が来て本がならぶその場所にそのままおいてきた コーヒーを飲んで1時間くらいしてからもどってみるとその本はうていた 。 きっとあの絵と帯になにかの魅力があるだろうなきっと  おかげで計画と無計画の間という出版社をたちあげている方で斜陽の業界にいどむ 良書だった
帯に書いてあったが 活字からこんなことが、自分にもあったなとか どんどんつながりが広がるのが良書 ってコメントほんとうだなっておもう 虹の岬はきっとイメージとつながりが感じられないにちがいない

投稿: アンクルジョー スユア | 2012年1月26日 (木) 22時48分

cancer
アンクルジョー スユアさん こんばんは。

帯に惹かれて買われるのでしょうね
あくまでも浅学たる私の意見ですから・・・
マイノリティの意見とご承知ください。

岬にある喫茶店は憧れの喫茶店ではありますね
田舎では造れないですね
なにしろ台風の通過地点になっていますから、多分に
1年と持たずに崩壊することでしょうから

投稿: いもがらぼくと | 2012年1月27日 (金) 20時00分

いもがら様

あなたの書評に概ね同意です。
妙にネチネチ(長々)と小難しい漢字を使って描写する場面。
こちらが赤面するくらいセンスの感じられないセリフの言葉選び、等々。
読み進めるのが本当に苦痛でした。

ただし、この小説に登場する喫茶店にはモデルがあります。

本当にトンネルを抜けてすぐに「おいしいコーヒーと音楽♪ 岬カフェ ここを左折」の小さな看板があります。
煙突も台風にも負けずに白い煙をたなびかせていました。
本当に防風林もありませんし店の周囲は草しか生えないような場所です。
この小じゃれた小屋は日本の田舎【千葉県】に建っていました。
こんな色【青】のペンキで塗られていました。
表紙絵とほぼ変わらないこの喫茶店は本当に実在したのです。
2011年1月までは。

その後、この喫茶店がどうなったのか?
この本が喫茶店の女主人(←コレも実在します)にどのような影響を与えたのか?
もし興味があるようであれば調べてみて下さい。


投稿: | 2012年2月25日 (土) 00時47分

cancer

モデルとなった喫茶店があったのですね
喫茶店が岬の突端にあって郷愁を誘う夕日が見られると
人気がでますね。
そんなオーナーに憧れます。

しかし、郷愁を誘うモデルがありながら、上っ面だけを描いた文章は世に出してはいけないと思います。

喫茶店といえば、コーヒーよりナポリタンを
思い出すのは世代ですね

コメントありがとうござました

投稿: いもがらぼくと | 2012年2月26日 (日) 11時36分

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