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文藝春秋「日本の自殺」考

Bunngei

1975年の文藝春秋に載った論文が37年の時を経て、嫌いな朝日新聞の1面で語られた。
「[日本の自殺]がかってなく現実味を帯びて感じられる」と・・・。

芥川賞の作品を読むためだけに文藝春秋は買いますが、今回だけは「日本の自殺」を読むために買った。
先ずは、一読しただけだが、37年前の論文がいままさに、あらゆる壁にぶつかり、泥沼に足を入れてしまった苦悩に直面する日本の今を書いているように思えた。

政治家は、名誉とお金の為だけに執着し政治家たる我が身を守ろうと必死になって、国民に対してアメ玉の空約束の手形を乱発して人気を取り、あえて苦言を呈することもしない。
西郷隆盛も坂本龍馬もいない小粒な日本の政治家たちが、今にも倒れそうなコップの中で蠢き、暴れている。まさに・・・小心者でタンスの中に数億円も隠している政治家風情のメルティングポットであろうか・・・コップの上から覗いている神さまたちは呆れ返っていることでしょう

日本沈没の予感

・・・もしかすると、日本は地質学的に沈没してしまうはるか以前に、政治的、経済的、社会的に沈没してしまうかも知れない。このような予感を与えずにはおかないような社会的衰退のムードや社会病理現象はわれわれの周囲に数多く観察された。

例えば、プラトンによれば、ギリシャ没落の原因は、欲望の肥大化と悪平等主義とエゴイズムの氾濫にある。道徳的自制を欠いた野放図な自由の主張と大衆迎合主義とが、無責任と放埒とを通じて社会秩序を崩壊させていったと云うのである。

プラトンの有名な「国家」には、崩壊前夜のアテネの状況が書かれている。
「支配者たちが・・・自由をふんだんに与えてくれないと、市民たちはそうした支配者たちを、もののわからぬ奴、寡頭制的な奴と非難するようになる」---大部分省略---

ローマ帝国滅亡との類似

諸文明の没落の原因を探り求めて、われわれの到達した結論は、あらゆる文明が外からの攻撃によってではなく、内部からの社会的崩壊によって破滅すると云う基本的命題であった。トインビーによれば、諸文明の没落は宿命的、決定論的物でもなければ、天災や外敵の侵入などの災害によるものでもない。
それは、根本的には、魂の分裂と社会の崩壊による、「自己決定能力の喪失」にこそある。
と、位置づけている。

(゜ー゜)(。_。)ウンウン なるほど・・・。

あの、永遠に続くと思われた強くて巨大な国家ローマは何故に滅亡したのか

これは、非常に読み応えがあって面白い。
ローマの滅亡こそが、教訓となって生かされる国家論ではないだろうか

巨大なローマは富を集中し繁栄を謳歌したローマ市民は、次第にその欲望を肥大化させ、労働を忘れて消費と娯楽レジャーに明け暮れるようになり、節度を失って放縦と堕落への衰弱の道を歩みはじめた。
まさに、繁栄の代償・豊かさへの代償と呼ぶべきものなのか

ローマ帝国各地から繁栄を求めて流入する人口によって膨張し続け、適正規模を越えてしまった。コミュニティは崩壊した。
適正規模の町内会で情報(回覧板など)を伝達していたものが、一気に膨れ上がった町内会では、規則を守れない自由を履き違えた輩も出てくる。団結を誇った町内会も、蟻の一穴が命取りになる。町内会は崩壊すると、規則が規則でなくなり、ゴミ置き場はカラス一族の食卓になってしまう。

面白いのは滅亡の原因とされる有名な「パンとサーカス」のはなし。

ローマ市民は戦争やその他の理由で土地を失い、経済的に没落し事実上無産者と化して、市民権の名において、救済と保障を要求するようになった。シビル・ミニマムの要求である。

救済と保障を要求する市民に金持ちや政治家は群がった市民にパンを与えた。
人気を得るために・・・。無秩序に与え続けた。

いままさに民主党は無産者に対して7万円の最低保障制度をつくろうしているし、生活保護を受ける人は年々増加の一途をたどっている。まさに政治家は人気取りでパンを与え続けようとしている。

特にいま、話題の大阪市には15万人の生活保護者がいる。まぁ平たくいえば、市民の18人に1人の生活保護者数を誇っているのである。自動的に振り込まれてくる生活受給費でパチンコやら低俗なお笑いにうつつを抜かしているのであろう。

非難する私も・・・無産者になる時期が来る。その時は先陣を切って門前にたむろしてパンを貰おうと大声をだすのかも知れない。わが身は可愛いのであります。

そこにサーカスが登場する。

マンフォードによると皇帝クラウディウスのときすでに、公共の費用で催された競技や見世物は93日になり、公の休日は159日に及んだある。そして、それらは時と共に増え続け、競技日は175日になり、休日は実に200日を越し1年の半分以上も祝祭日として認めた。
無償で手に入るパンと娯楽を与えるサーカスで、人々は働く意欲を失っていった。
繁栄と福祉の絶頂に達したと錯覚したローマ社会の芯は腐り始め、ローマ人の魂は衰弱しローマは滅亡していった。

いま、まさに日本は滅亡したローマ帝国を反面教師とすることが出来るのであろうか
公務員は国民が汗水流した税金を搾取して高給取りとして、この世を謳歌している。代議士とは金の成る木なのであろうか・・・足腰の立たない老体であっても、のうのうと高給を手にしている。
こんな世の中が続くわけがない。

年金の受給者も無生産者である。
優雅な生活を望めば望むほどに国は滅びていく。

37年経ったいま、先見の明を持った論文は主張が正しかったことを証明しようとしている。
腐りきった政治家がいる限り、タンス預金を貯めこむような悪代議士がいる限り、日本の自殺はすぐそこに来ている。

・・・と、私は思った。

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45万人? 想像つかないが

Sinnsenn

今もって、想像をはるかに超えた数字がある。
450000人。

Foxconn(富士康)と云う台湾系の会社がある。
自殺者が相次ぎ、ブラックカンパニーではないかと世界中を駆け巡ったニュースを思い出す。

社員の自殺者が相次ぐなんて、昔で云えばタコ部屋と云うのを思い出す。そのタコ部屋と云えば、借金の形に強制的に監禁状態に置かれて、日常の行動が監視され肉体労働として安い賃金で・・・とあるが、殆ど搾取され無賃で働かせるイメージがある。

学生の時に、友人に勧められて小林多喜二「蟹工船」を読んだ。
職にあぶれた若い労働者が船上に連れて来られ、陸に上がることが許されず、来る日も来る日も暗い船内の劣悪な環境のなかで、漁獲されたタラバガニの缶詰を作る。

こんな内容であったと思う。
暗くて、スラスラと読めないほどに心が淋しくなる本だった。二度と読みたいとは思わなかった。
何年か前に蟹工船が漫画となってヒットしていると、何かで知ったが・・・
漫画と文章だけで書かれた世界観とは違うと思う。

と、云うのはさておき
自殺者が相次いだFoxconn(富士康)は電子機器を作っているグローバル企業で世界中に100万人の雇用を要していると云う。今回、問題になった広東省、深セン市にある工場には45万人が働いている。

同じ場所にある、ひとつの工場に45万人の人が働いている?

時々・・・
想像してみるが、規模の大きさが掴めない。

日本で考えれば
石川県 金沢市     462,478
広島県 福山市     461,471    
東京都 江東区     460,585
兵庫県 尼崎市     453,608    
長崎県 長崎市     443,469    
東京都 葛飾区     442,848

兵庫県尼崎市がほぼ同じ人数となる。

尼崎市民のみなさんは、男女を問わず、じいちゃん・ばあちゃんに幼稚園児から赤ん坊まで、1日12時間を同じ工場で働き生活をしている・・・ことになる。

いま私が住んでいる市は、20万人の人口を抱える地方の中都市いや小都市かな。
市の面積が広いために町が四方八方に点在し、人口20万人の過疎市と呼ばれている。
その、20万人を強制的に集めてもなお、45万人を擁する工場の半分にも満たない。

自殺者が相次いだと云っても、働いている45万人の中からひとり・二人と心に傷を負って死んだのであろうが、市民として45万人のいる町であっちこっちで自殺者がでても、なんら不思議ではないしニュースの端っこに載る程度であろうか

それにしても、45万人を抱える広東省、深セン市の工場は世界一の人口密度ではないのか。
まだ・・・工場の大きさが想像できないでいる。

補足。
画像は深センにある工場の内部。
この体勢で12時間も・・・無理だ~
四方に監視している人が立っている。もはや蟹工船以上かも知れない。

億万長者が何千人もいると云う中国において、45万人が働く工場の月給は1万円前後と聞く。この差は何なんだろう

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