鎖に繋がれた天使
この街は、生鮮産品を中心にしたスーパーの激戦区です。
その中でも、品質が良くて若干高めと評判のスーパーイチコがある。
イチコは中々品揃えも良くて抜きん出た集客力を誇っている。
出店する時の条件のひとつに、近くにお墓があるかどうかだと聞いた事があります。
お墓のそばは良いようです。
そんなイチコの商圏となっている
友人の住む住宅地は、碁盤の目のような縦横に整列された密集地です。
いつ来ても、路上駐車のいないすっきりとした道路になっている。信号のない交差点には緑豊かな小さな木々が目印となり、各家庭の庭先にある塀には街路樹の代わりに色とりどりのバラの花が満開となり目を楽しませてくれている。
花の町でもある。
住宅地の中にある町内会にはある規則があった。
「猫の放し飼いを禁止する」
猫の放し飼いを禁止する? 猫の本能を奪ってどうするの・・・。
猫会議に出席することも出来ない猫は可哀相です。
猫は決められた時間に、領土保全のために耳を傾けマーキングをしながら、隠密が入り込まないように巡廻して見張りをします。
時には、ジュリーのような賢いネズミがいるので油断になりません。
しかし、この町では自由に歩き回ることが出来ないのです。
第一幕。友人宅の前のお宅。
鎖にに繋がれた天使。
もう、自由に歩き回ることを諦め、悟ったのでしょうか。
人見知りが激しく警戒心の強いのが長所だったのに・・・目はどこまでもやさしく
助けを求めるでもなく、虚ろなまなこでこちらをジッと眺めています。
番犬の代わりも出来ない番猫です。
果たして、これでも愛猫家と呼べるのでしょうか
自由気ままで、わがままし放題が猫の姿と思えば、哀れな姿です・・・。
姫のヒステリックな鳴き声に恐れをなしている私は、どちらの猫が良いのやら。
第二幕。灯りのない山奥の一軒屋
納屋に佇む繋がれた天使。
富山の小矢部に住む友人は山奥に住んでいます。
彫刻を生業としている彼から、ニホンカモシカが来るから見においでと云われて
行くことにした。
灯りひとつない山道にポツンとぼんやりと光る灯りがひとつ・・・彼の家だった。
それこそ、目が慣れるまで動けなかった。
少し、暗闇に目が慣れ見渡すと、納屋の奥からキラリと光る物体を発見した。
「何か光っているけど、何かいるの?」
「猫だよ」
「それも、キツネやタヌキが出てきて猫を掴まえるので鎖に繋いであるんだ」
「エ~~~」言葉にならなかった。
こんな、自然がいっぱいのこの山奥に猫が鎖に繋がれているなんて・・・
想像も出来なかった。
結局、カモシカは出てこなかったが、クマやキツネがゾロゾロといるらしい。
それよりも、満タンに入れられた灯油缶が20個あったのが一番ビックリした。
いくら自然が好きな私であるが、自然愛好家の烙印を剥がされても良い・・・
猫を鎖に繋ぐような相容れない自然の中での生活は出来ないと思う。









