趣味

金持ちの道楽

西の空が薄く茜色に染まっている。
陽の落ちる時間が日に日に早くなり、5時ともなると街灯には火が入る。
朝な夕なに風が冷たく体に当り、本能的に襟元を立て首を庇う仕草で歩く姿が多くなる。今宵もまた、首を竦み、よいとまけの唄を口ずさみながら雁木通りを急ぎ足になり、薄明かりが路地に差し込む、とある一軒の格子戸を、ガラガラと音を立てて開けた。

T_img_2389

間伐材を利用して造られた小料理屋『八重菊』は、秘密の場所とも云うべき、男の隠れ家です。通りには小さな行灯が陽炎のようにぼんやりと光彩を放っている。

先日寝静まった時間に携帯の着メロ(黄昏のワルツ)が鳴った。寝ぼけ眼で着信を確認するとお世話になっているK氏からだったので、「はい、こんばんわ」と出た。

「こんど、Windows7が出るんだよね」
「そうですね 22日が発売日だと思いましたが・・・」
「冷ややかな目で見られると思いましたが、予約しちゃいました」
「エッ、予約をしたんですか?」
「金持ちはやることが早いですね」と皮肉たっぷりに。
「説明して欲しいから八重菊に行かない?」ときた。

八重菊か・・・。頻繁に行くが、客として八重菊に行くのははじめてだな。
「良いですね 予約が取れたら連絡ください」と云って電話を切り、夢の中を彷徨った。

予約が取れたと後日連絡があり、約束の時間に間に合うように八重菊への道を急いだ。内装もまた、テーブルやら椅子も間伐材がふんだんに利用され環境にやさしい店造りになっている。
予約席のプレートが掛けられた個室に入る。
店内は、心地よい響きが、邪魔にならないほどのjazzのやさしい音色が耳をノックする。木の温もりが音響として反射している。奥の深い音を刻むjazzは、会話を邪魔にすることがない。小料理屋にjazzとは、なかなか巡り合わせの良い感じです。

K氏はピカピカのラップトップを小脇に抱えてやって来た。
先ずは、ビールと水割りで乾杯をする。あとは野となれ山となれで、料理長お任せの魚料理をお願いする。

081110windows7installerheader

早速に・・・。ラップトップを開くと、おもむろに話を切り出す。
「Windows7の初期設定で、Vista仕様にするか、XP仕様にするかがあったはずですが」
「エッ、そんなのなかったですよ」
「それじゃ、XP仕様にしてくださいよ・・・。」
凌ぎを削る大型の家電屋からのDMを見て予約をしたようです。仕様の変更もなにもありません。何でも詰め込み放題のWindows7をお買い上げになったのですね。

「Vistaの時もお願いしましたが、家電屋に勧められて買ってはダメだと云ったでしょう」
「画面もきれいだったし、安かったんですよ」
「いくらしたんですか?」
「215,000円!」
「ヒエ~~~~」高いです! 金持ちの道楽は使い切れないお金を使うことのようです。

何でも詰め込みのラップトップが欲しいのであれば、Windows7アップグレード版付きのWindowsVistaの底値大バーゲン中の物を買うのが利口ですね。10万円前後で手に入ります・・・とは、云えなかった。
お金持ちは、そんな面倒なことはしないのです。
目の前に、欲しいものがある、それは、商品がこれ以上のない笑顔を振り撒いて、ネェ~私を買ってお願い!と懇願されているように感じるのですね。
瓶に溜め込んだ福沢諭吉は無尽蔵に湧いてくるのです。

メール設定などを説明して話は弾んだ。
悪戯・迷惑メールの悪の巣窟と呼ばれたhotmailは進化を遂げていた。yahooオークションなどでメールアドレスがhotmailの方はお断りなどと邪険にされたhotmailもOutLookExpressやらWindowsメールのメールソフトは廃止され、チャットやTV電話などで使われメッセンジャーを中心としたWindowsLiveに統合されていた。

これも、一歩リードしているyahooメッセンジャーに脅威に感じたのでしょうね
マイクロソフトは何が何でも、マイクロソフトの中に取り込もうとしているのですね
最後の足掻きにも見えるのですが・・・。

そんなこんなで、荒波に育ったワラサの刺身に近海で水揚げされたマダイの塩焼きなどを戴きました。最後はマダイの茶漬けを美味しくいただいて、ゴッツアンです。

道楽として持っている5台のWindowsXP Vista 7の数々、要らなくなったら連絡くださいね。粗大ゴミを拾いにいきますからと、手を振って別れた。

| | コメント (0)

ポラロイド写真

Img_0999pola

雲はどこまでも高く千切れて浮かび秋が舞い降りている。
秋の風に身を任せながらのんびりと昼寝の真っ最中。彼女は夢を見ていたのです。

家々が並ぶ猫道をすり抜けていくと「犬の散歩はご遠慮下さい」と書かれた港南町公園に突き当たる。公園は桜の木に囲まれて春ともなれば桜吹雪が乱れ飛ぶ。
雑草の生い茂った草むらには地中に埋めるはずだった下水管が横たわっている。
いつしか・・・。
下水管は、どこからともなく持ち込まれた藁が撒かれて座布団になっている。この場所は、猫族の集会所となり夜な夜な会合が開かれている。

夜の帳が下りるころ猫道には街灯が照らされる。
空を見上げれば、こうもりが羽根を広げて戦闘の飛行訓練を行っている。

集会所ではいつも
いままさに下水管の集会所では喧々諤々の議論が巻き起こり一触即発のただならぬ状況になって来ている。スパイとして入り込んでいる家では眠り薬をかがされ強制的に不妊治療の手術で子孫繁栄の道が閉ざされてしまった。
異性を求める愛の遠吠えもできなくなり、愛の交歓ができないこの世に生まれて何が楽しいかと喚き散らし、泣き叫ぶものもいる。

人間の手によって子孫繁栄の願いが叶えられない悲しみを嘆いている。
食料のすべてを人間どもに依存している以上、ストライキもデモも起せない。
人間どもは、猫族のおかげでネズミがいなくなったことは忘れてしまっているようだ。
もう・・・働くのを止めようかと思っている。
ネズミやらゴキブリが大量に出てきてもしらんぷりをしておこう。
そんな話が飛び交う中で、そんなことはどうでも良い。

手入れに手入れを重ねた毛繕いの成果を見てもらおうと自慢する。
これが何よりの生き甲斐で楽しみです。
集会所の舞台に立って艶々した毛並みを見せていた時に起されたのです。

「はい!チーズ」なんて云っている。
折角、良いところの夢だったのに、「誰の許可を得て撮っているんだ!」と、どこかで聞いた台詞だったが怒ってしまった。
プンプン・・・二度寝しよう~と。

| | コメント (2)

憧れのカブト虫・・・1302

ブログのお友達から教えていただいた可愛いカブト虫のYouTube。
懐かしいフォルクスワーゲン・ビートルのYouTubeを見ていると、若い頃の自分を思い出してしまった。

社会人になった23歳の時に東京池袋の自動車学校で晴れて自動車免許証を戴きました。
営業職なので指定された時間に学校に行くのは容易ではなかったが、何とか合格。
しかし・・・仮免で1度落ちました。
落ちた仮免受験の日は、丁度、雨が降り視界が悪かった。左折する交差点で前を走っていた車が突然、停車して運転手が降りてしまった。後に付けていた私は抜き差しならぬ情況に置かれてしまい、追い越す事が出来ずに・・・鐘が鳴ってしまった・・・不合格です。

車の免許については・・・
薩摩寺子屋時分には免許取ることはまかりならぬとの、親の言い付けを守り自動車学校には目もくれずに市電と自転車で日々を過ごしていた。
兄弟揃って4人とも大きな交通事故に遭い、自動車の怖さと危なさが親の言い付けの元になっているようです。
私は、幼稚園に上がった年の正月3日に、交差点の角にあった実家で庭遊びをしていたようです。道路に面した庭に立っていると、交差点の向うから猛スピードでスクーターが走ってきて、右に曲がり損なって私と正面衝突。
私は宙に舞いコンクリートで出来た側溝に頭から落ちたそうです。
この事故以来・・・私の脳は限りなく低下の一途を辿っています。
救急車で運ばれたが、意識不明の重態。
3日3晩のこん睡状態から奇跡的に助かったと・・・あくまでも、聞いた話です。
21512
そんなこんなで免許を取りたい!
自動車学校に行く費用を頂戴などとは、口が裂けても云えない話です。
その為に社会人になったら、すぐに自動車学校に行こうと決めていました。
念願かなって晴れて取得した免許証です。
車に乗りたくて仕方がありません。
同僚達は18歳の頃には免許を取っていて華やかに乗り回しています。
寮の駐車場は、そんな連中の車でいっぱいでした。
しかし・・・
免許は取得しましたが、車を買うほどの余裕はありません。
車を買う為の計画を練り、安い労働賃金から節約して貯める事を実践しようとしますが、彼女から声がかかると節約の二文字が消えてしまうんです。

彼女には良いところを見せたいし、奮発してしまうのです。
計画は何度も何度も頓挫します。

遂にやって来ました。
免許を取得した時から乗りたい車は決まっていました。
同僚が紹介してくれたヤナセの営業の方が会社まで来てくれたんです。
フォルクスワーゲン・ビートル1302
憧れの1302です。
本当は紺色の1302が欲しかったのですが、買いたいと思ったときはすぐに
欲しいものですね。
白だったら1ヶ月程度で納車できると云われて『ハイ! お願いします』
虎の子の164万円は羽根が生えて、飛んでいきました。
当時はとても高価な高級車です。

納車された日から、日課としてセッセとワックスで磨く私がいます。
日曜日ともなると、デートするのか洗車して磨くのか・・・
彼女にはいつも怒られていました。

今では、車に憧れなんて・・・ありません
走れば良いんです。
最近は暖房の利きが悪くなっているような、そんな気がします。
住めば都と同じで・・・乗れば愛車で天国です。

| | コメント (0)