以前、なにげなしにボタンを押したNHKの番組で古典芸能「琵琶の世界」を観た。
黒の和服に凛とした姿で琵琶を奏でる女性の姿と音色に心が打たれた。
後日、薩摩琵琶奏者の坂田美子さんであることが分かり、インターネットで追いかけた。
坂田美子さんのCDを買い求め、ライブにも顔を出して薩摩琵琶の音色に嵌った。
神津カンナがプロデュースした「薩摩琵琶の世界」が紀尾井小ホールで開かれて、聴きに行った。
その時の演目に長唄との競演があり、長唄の人間国宝杵屋喜三郎氏の演奏を生で初めて聴いた。仰天した。三味線って、こんなにも美しい音を奏でるのかと心臓がドキドキして三味線の音色が頭から離れなかった。
長唄と薩摩琵琶と和の世界にどっぷりと嵌ってしまった。
秘かに長唄のCDを手にして、聴き入り和楽器の素晴らしさの入口に立ったように思った。
そして、薩摩琵琶と長唄はMP3デジタルオーディオに入れて、出張の折り、電車の中で聴いている。
先日、関わっているNPOから「津軽三味線」の二代目高橋竹山さんが8年ぶりのCDを出したので記念演奏会を浄興寺で行うので、チケット買って!と云われた。
高橋竹山と云えば、頑固そうで四角張った顔。全盲でありながら津軽三味線を最高峰に押し上げた功労者、そんな程度しか思いつかない。
その高橋竹山を引き継いだ二代目が津軽(青森)ではなくて、車で走れば4~50分ほどの糸魚川市能生に住んでいる事は驚きです。
浄興寺は親鸞が説法を繰り返した由緒あるお寺で国の重要文化財に指定されていますが、NEO浄興寺プロジェクトなる組織を作り、浄興寺本堂でのイベントに力を入れています。
4月29日には 秋吉敏子jazzライブがありました。
11月3日、文化の日。
浄興寺の境内は菊祭りが開催中で、沿道から境内とテントが張られ、丹精込めた菊の数々が展示さています。1時30分開演には続々とお見えです。
本堂の中には畳に置く長椅子と畳席があり、ほぼ満席の状態で埋まっています
殆どのお客さまは年配です。三味線とか民謡が好きなのでしょう。
レモンイエローの鮮やかな着物を着て二代目は登場されました。
しなやかな細身の体に、きりりとした佇まい、50歳を越えているとは思えない美貌にオーラを感じます。美人なんです。少し低音の流れるような語りに三味線一筋の年輪を感じます。
CD発売を記念してのライブは、どうしても、この浄興寺から始めたかったと・・・。
CD『三味線じょんから---竹山の汀へ---』
4月29日の秋吉敏子jazzライブに、ひとりのファンとして聴きに来て、この場所で三味線を弾きたいと思ったと、熱き願いが叶えられた事が何よりも嬉しかったと笑顔で話をされた。
早速に、「津軽じょんから節」がはじまり荒波を被るような激しい旋律です。
怒涛の音が静まり返る浄興寺の本堂を埋め尽くしていきました。
これが、津軽三味線なんだ・・・太い音色です。
目にも止まらぬ激しいバチ捌きの音が心を捉えて離しません。
音色の余韻が押し寄せた波が引潮のように静かに離れていきます。
「三味線よされ」
「十三の砂山」(聞き間違いでなければ、とさの砂山とおっしゃっていた)
「津軽あいや節」
と心地よい響きは続きます。
11歳で始めた三味線が、初代高橋竹山のCDを聴いたことで、いてもたっても居られず
押しかけて内弟子になった話などをまじえて津軽三味線は続きます。
和服姿の津軽三味線は浄興寺を意識されての和服とのことで・・・
二部では本来の黒のロングドレスにシースルーのカーディガンを羽織っての登場です。
強弱の音に酔いしれてしまいます。
三味線だけではなく、三味線の伴奏で歌も入ったのですが、これがまた美声なんです。
それこそ50歳代の声とは思えません。まるでオペラ歌手のような華麗な歌声です。
薩摩琵琶の坂田美子さんも美声で有名ですが、高橋竹山の透き通るような声は、
紛れもなく一級品でした。
歌声を聴いただけでも価値のあるライブ、そんな感じです。
長唄の人間国宝杵屋喜三郎さんの優しい音色の三味線は細棹で繊細な音色でした。
津軽三味線は太棹で太くて激しい音色。
どちらも心を揺さぶる和の芸術でした。
最後の曲は即興曲とのことで、演奏の途中から拍手が鳴り止まず最高潮になり
アンコール拍手は本堂が揺れるほどの音が響きました。
酔いしれた二時間のあとはサイン会が行われていました。
CDを買い求め、戴いたサインを小脇に抱えて大事に帰途につかれる方が大勢のなか、
私はCDは買いませんでしたが、その日は余韻に浸り堪能しました。